「また引き受けちゃった…」そのやさしさが、あなた自身を苦しめていませんか?
職場で誰かにお願いされたとき、本当は断りたいのに「迷惑かけてるし…」と引き受けてしまう。
気づけば自分のタスクで手一杯になっていて、家では子どもの世話と家事に追われる毎日。
それでも「もっと頑張らなきゃ」と自分を責めてしまう日々。
そんな毎日を過ごしている方へ。
それはあなたが弱いからでも、甘えているからでもありません。
この記事では、「断れない」苦しさの背景にある“心の境界線(バウンダリー)”という考え方を紹介します。
かつての私も、責任感と気遣いの板挟みでしんどさを感じていました。
少しでもあなたの心が軽くなるヒントになれば嬉しいです。

はじめまして、牧野いとです。
仕事と育児の両立に悩み、14年勤めた製薬会社を退職。
現在は、WebマーケティングやWebデザイン、ライティングを学びながら、働き方や学び直しのリアルを発信しています。
「このままでいいのかな」と感じたとき、少し立ち止まるきっかけとなるような記事を目指しています。
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断れない心理とは?

頼まれたときに「NO」と言えない人は、きっとやさしい人だと思います。相手を思いやれるし、空気も読める。嫌われたくない気持ちもある。
でも、だからこそ無理をしてしまう。
断れない状態が続くと、「私ばっかり損してるかも」「また断れなかった…」と、自分の中にモヤモヤがたまっていきます。
でも実は、この状態は“心の境界線(バウンダリー)”があいまいになっているだけかもしれません。
心の境界線(バウンダリー)とは、「ここから先は自分の気持ちや責任の範囲です」と区切る見えない線のことです。この線があいまいだと、他人の気持ちや期待を必要以上に引き受けてしまい、疲れやすくなってしまいます。
だからこそ、「断る」という行為は、相手を突き放すのではなく、自分と相手の健やかな距離を保つための行動といえます。
「迷惑をかけているから」という思い込み
私自身、出産を経て正社員として復職したとき、職場の人たちにとても気を遣っていました。
子どもの急な発熱で早退が続いたり、会議に出られなかったり。

「またか」と思われていないかな…
いつも心のどこかに、申し訳なさがありました。
そんな状態だったからこそ、誰かに「これお願いできる?」と言われると、断るという選択肢が、頭から消えていました。
「これ以上迷惑をかけられない」
「また甘えてると思われたくない」
そう思って、無理をしてでも引き受けてしまう。
結果的に、自分の時間も気力も削られていきました。
バウンダリーという考え方

職業訓練で「ビジネス心理学」の授業を受けたとき、人との関係性や、距離感の保ち方について触れる場面がありました。
その話がとても興味深くて、授業のあと、もともと関心があった心理学について自分なりに調べてみることにしました。
そこで出会ったのが、心の境界線(バウンダリー)という考え方でした。
- 他人の感情を引き受けすぎると、自分の心がすり減ってしまう
- 自分の限界を伝えることも、誠実さのひとつ
ずっと「断れないのは私の性格のせいだ」と思ってきたけれど、それは単なる“気質”や“心の線引きの仕方”の問題だったのかもしれない、と思うことができました。
そして、それに悩んでいる人が他にもたくさんいることを知って、どこかホッとした自分がいました。
こういう特性にも名前があるんだ。
私が感じていたしんどさは、ちゃんと言葉になるものだったんだ。
それだけでも、少しだけ気持ちが軽くなった気がしました。
距離をとるという選択肢
もちろん、それを知ったからといって、すぐにうまく断れるわけではありません。
誰かに何かを頼まれたとき、「大丈夫です」と反射的に返してしまいそうになる自分は、今もいます。
でも、ほんの少しだけ、「断ってもいいかもしれない」と思えるようになりました。
それだけでも、私にとっては大きな変化です。
すぐに答えずに、一度立ち止まってみて、「私はどうしたい?」と考えてみる。
たったひと言の考え方で、肩の力がふっと抜けた気がしました。
本から学ぶ。心を守るための言葉

「もっと知りたい」と思った方は、こちらの本も参考になるのでご紹介します。
📚「断れなくて損している」を簡単になくせる本
断れないがゆえに、いつも誰かに振り回されてしまうあなたのための一冊。
📚心の境界線 穏やかな自己主張で自分らしく生きるトレーニング
全世界32国刊行のベストセラーです。我慢せず、無理なく心の平穏を手に入れる最良の方法をコーチしてくれます。
まとめ|その“遠慮”は、本当に必要なものでしょうか

誰かに頼られるのはうれしいこと。
でも、そのたびに無理をして、自分をすり減らしていたら、きっと長くは続きません。
「迷惑をかけているから、もう断れない」
「嫌われたくないから、引き受けよう」
そんな気持ちが生まれたときには、心にそっと置いてみてください。
「私は本当は、どうしたい?」
その問いを持てるだけでも、少しずつ心は軽くなっていくはずです。
断れないことで悩んでいるのは、あなただけではありません。
それは、やさしさの裏返しであり、もしかすると「境界線を引くのがちょっと苦手だっただけ」なのかもしれません。

自分の気持ちにもやさしくありますように。
本記事では、心理学の専門家ではない立場から、職業訓練や個人的な学びを通じて得た気づきを紹介しています。専門的な診断や助言を目的としたものではありません。


